そんなことがあった翌朝、私はいつものように6時半頃出社しました。ビルの回りは前の晩の強い風に吹かれて、たくさんの落ち葉が散らかっていました。思わず私は、ホウキを手に取って掃き始めました。ふと気がつくと、ずっと向こうの方で隣のおばあさんが、やはりホウキで落ち葉を掃き集めておられます。

目が合い、自然にお互いに目礼を交わしました。そういえば、このおばあさんは毎朝欠かさず、ホウキで家の前を掃除しておられたことを思い出しました。私が出社する6時半頃、いつも決まって見かけていたのです。

しかし、私は8時になって社員が揃うまで、決してホウキを持つことはありませんでした。